スタッフN村による着物コラム

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夏は実りの季節です。

春に植え付けた野菜がどんどん食べごろになっています。

写真は、弟夫婦に送ってやろうと採って来たある朝の収穫。

無農薬栽培なのでキャベツの虫食いはご愛嬌。ネットで覆ってもどこからか虫が入り込みます。

キュウリやズッキーニは苗が小さいうちはウリバエの餌食なので、育つまではネットで覆ったり、キラキラテープで虫を遠ざけたり、手がかかります。

キュウリは育ってしまえば勝手になりだしますが、ズッキーニは雌花に受粉させてやらないと、いい実ができません。

しかも朝9時頃までにやらないと花がしぼんでしまうし、雄花しか咲かない日、雌花しか咲かない日もあって、非常にワガママな野菜なんです。

ま、おいしいから仕方なく毎朝見に行きますけど。手のかかるヤツほどかわいかったりしますしね。

 

51.上野のお山はワンダーランド

 

国立西洋美術館が世界文化遺産に認定されましたね。トルコのクーデター騒ぎでどうなることかと思いましたが、まずはメデタイ。

意外なことに東京都では初の文化遺産なんですってね。素人目にはコンクリ打ちっぱなしのそっけない建物にしか見えませんが、

そう決まってみればなんだかありがたいような気もして来ます。次に行く機会があったら、建物もちゃんと見てこよう。

さて今月も上野散策の続きです。

近藤ようこさんと東京国立博物館(以下東博)の平成館で「黒田清輝展」を見た後、本館で国宝の洛中洛外図屏風が展示中ということなので、

そちらも見ようということになりました。すでに2つの美術展を見て頭の方はパンパンですが、お腹はぺこぺこなので、本館横のカフェテリアでお昼ご飯。

ホテルオークラの経営とかで、メニューも和洋中取り揃え、お値段もそこそこ、雰囲気も落ち着いてます。天気がいいのでオープンテラスへ。

ここで近藤さんを席に残して私はもと来た平成館に向かってダッシュ! 肩身の狭い喫煙者である私は喫煙所の確保がけっこう重要なファクターなんです。

平成館から出て来る途中、嫌煙家よりも煙草のにおいに敏感な私の鼻は、それをがっちりキャッチしていました。

平成館から本館に向かう途中、庭の片隅に2脚ほどのベンチと灰皿が設置してあるではないですか! 思わず耳、じゃない、鼻を疑いましたね。

日本のみならず外国の国宝までごろごろしてる敷地の中に喫煙所があるなんて! ありがてえありがてえ。ゆっくり一服して、カフェに戻りました。

結構本格的なチキンカレーをいただいて(一番安かった)、さあ、本館へ。

本館はコンクリートに重厚な瓦屋根をいただく「帝冠様式」という建築で、昭和13年の開館。建物自体が重要文化財です。

改めてチケットが必要なのかと思ったら、黒田展で入場しているので本館はフリーでした。入って正面の大階段は実にいろいろなドラマや映画に登場します。

最近ではドラマ『半沢直樹』で、なんだっけ、東京中央銀行だったっけ? の本店として使われたのが記憶に新しいです。

他にも戦前が舞台のドラマなんかでよくお見かけします。ガラケーのカメラではうまく撮れてませんが、雰囲気だけはわかってもらえるかな?

二階の展示室は複雑怪奇で、屏風絵や襖絵の隣は能衣装や江戸期の小袖、その向こうに鎌倉期の甲冑があるかと思えば、縄文土器や鏃があったり、

古墳時代の銅剣や土偶、こっちは浮世絵に肉筆画、で、あったあった、洛中洛外図屏風。

今回公開されているのは舟木本と呼ばれるものの一部で、岩佐又兵衛の筆になる指定ほやほやの国宝であります。

岩佐又兵衛といえば、昨年の大河ドラマ『軍師官兵衛』で、田中哲司が怪演した荒木村重の遺児と言われている人。

村重は信長に謀反したあげく、妻子を捨て茶道具抱えて出奔し、一家眷属皆殺しにあいながら自分はのうのうと生き永らえ、秀吉の茶坊主になったという、

史上まれに見る不覚人ですが、2歳の又兵衛は乳母の機転で本願寺に匿われます。

そういう生い立ちの人ですから、描く絵もなんかグロテスクっつうかエネルギッシュっつうか、日本画としては物騒な絵です。

とかエラソーに言ってますが、頭の中はカラヴァッジョと黒田清輝でいっぱいになってたので、洛中洛外図屏風はひとっかけらも入ってきませんでした。

美術展のはしごは2展が限界と思い知った次第です。

やや疲れて階下に降り、一階のミュージアムショップをのぞいてみたら、俄然元気回復、いやーもう楽しい楽しい。

埴輪のゆるキャラ「トーハクくん」グッズはともかく、収蔵品の絵はがき、額絵、レプリカはもちろん、それらをあしらった扇子やハンカチ、手ぬぐい、

食器や文房具などなど、1800種もの品揃えだそうな。関連書籍もショップの二階フロアいっぱい。外国人ならずともOh!ワンダフルと叫びたくなります。

あれもこれも欲しくなるのをぐっとこらえて、歌川国芳の猫絵がプリントされたマスキングテープと、「探検! 東京国立博物館」という本だけにしました。

この本は、私が大ファンである画家の山口晃氏と、建築探偵・藤森照信氏が東博を隅々まで探検し、微に入り細を穿って紹介する東博案内本です。

これを読んでから改めて、特別展のない時にゆっくりじっくり東博を探検してみたいものだと思いました。ついでに西洋美術館もね。

 

上野公園をつっきって、ぶらぶらと駅の方へ歩いて行くと、牡丹園開園中の看板があったので行ってみましたが、入場料が高いのでパス。

ついでにそのまま奥の上野東照宮へ。日光のミニチュアみたいなきんきらの社殿を眺め、ほうほう、ここにも左甚五郎の作品が。

参道を戻って行くと絵馬堂があったので、なにげに眺めてびっくり。ほとんどの絵馬が外国語で書かれているではありませんか。

英語、フランス語、アルファベットだけどなんだかわからない言語、ハングル、中国語はほとんど繁体字なので台湾の人ですね。

日本語の絵馬なんて1割もないくらい。そしてふと参道を見渡すと、歩いているのはみんな外国人。日本人我々だけ。いやー、上野恐るべし。

 

公園を出て、大通りを渡り、老舗のあんみつ屋「みはし」で、ちょっと並んだけど一息ついて夕方六時、散会となりました。

午前中からたっぷり上野満喫の一日でしたが、寛永寺も動物園も行ってない。丸ごと楽しもうと思ったら一日じゃとても足りませんな。

上野に行ったら、駅ビルの出口などに置いてあるチラシやリーフレットを一通りゲットしてから歩き出すのがおすすめです。

イベント情報や、美術展の半券で割引やドリンクサービスなど、お得な情報が満載。そういや外国人向けの英語オンリーのエリアマップもあったよ。

東京在住でも意外と知らない上野のお山。浦安方面のネズミの園もいいけど、上野は大人が楽しめる渋めのワンダーランドでした。

 

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